中国の半導体製造装置メーカー、ビスフ・インテリジェント・テクノロジー(蘇州)が、AIを搭載した自動6軸研磨装置を開発し、市場での存在感を高めている。ノーコードプログラミングとAIビジョンを組み合わせ、高精度な半導体ウエハーの研磨工程の自動化を推進する。

AIとノーコードで研磨工程を自動化

ビスフ社が開発した自動6軸研磨装置は、AIビジョンとノーコードプログラミング機能を統合している点が最大の特徴だ。これにより、専門的なプログラマーでなくとも、現場作業員が直感的な操作で複雑な研磨プロセスを設定できる。中国の産業技術メディアが報じた。

このシステムは、カメラで捉えたワーク(加工対象物)の形状や位置をAIが自動で認識し、最適な研磨経路を生成する。従来は熟練技術者の経験と勘に頼っていた微細な調整を自動化することで、高精度と高効率を両立させ、製品品質の安定化に貢献するとしている。

半導体製造の高度化に対応

中国では政府主導で半導体の国内生産能力の向上が急がれており、製造工程の自動化と高度化が喫緊の課題となっている。特に、ウエハーの平坦性を決定づける研磨工程は、半導体の性能を左右する重要なプロセスだ。

ビスフ社の新装置は、こうした国内需要を取り込むことを目指している。同社は、半導体分野以外にも、精密機器や自動車部品など、高い加工精度が求められる他の産業への技術応用も視野に入れており、今後の事業拡大が期待されている。

日本企業への示唆

ビスフ・インテリジェント・テクノロジー(蘇州)が開発したAI搭載6軸研磨装置は、日本の半導体製造装置業界に複数の影響を及ぼす。まず、ノーコードプログラミングとAIビジョンを組み合わせた高精度研磨技術は、日本の製造装置メーカーにとって新たな競争圧力となる。特に、ディスコや東京エレクトロンといった日本の研磨装置大手は、中国市場でのシェア維持のため、同様の自動化・AI化技術の導入を加速させる必要に迫られるだろう。

次に、この技術は中国国内での半導体製造の自給率向上に寄与し、日本のサプライチェーン戦略に影響を与える可能性がある。ビスフ社の装置がウエハー研磨工程の自動化と高精度化を進めることで、中国企業はこれまで日本企業に依存していた高難度プロセスを内製化する動きを強める。これにより、日本からの半導体製造装置輸出に中長期的な逆風が吹くリスクがある。

一方で、ビスフ社の技術が半導体分野以外にも精密機器や自動車部品などへの応用を視野に入れている点は、日本企業にとって新たな協業の機会も生み出す。例えば、日本の自動車部品メーカーは、ビスフ社のAI研磨技術を導入することで、自社工場の生産性向上や品質安定化を図れる可能性がある。これは、単なる競合関係に留まらず、技術導入を通じた新たなビジネスモデル構築の契機となり得る。