中国の省エネ設備大手で、半導体材料関連事業も手掛ける双良節能系統股份有限公司(双良節能)が2月12日、米宇宙開発企業SpaceXとの提携を発表し、同社株は急騰した。しかし同日、上海証券取引所は発表内容が不正確かつ不十分にだとして監督管理上の警告したを発令。同社の業績が低迷する中、大型契約を巡る情報開示のあり方が問われる事態となった。

SpaceXとの提携発表と市場の反応

双良節能は2月12日、SpaceXの「スターシップ(Starship)」射場における燃料生産システム向けに、高効率の熱交換器を供給する契約を締結したと発表した。この発表を受け、同社の株価は大幅に上昇した。

しかし、上海証券取引所は同日、この発表について「内容が不正確かつ不十分にで、リスク開示が不足している」として、双良節能に監督管理上の警告したを出した。これを受け、同社は協力内容の詳細を補足説明する文書を改めて開示する事態となった。双良節能は、この提携が「中国の高度な製造業が世界の商業宇宙産業に参画する上で重要な一歩となる」との期待を表明している。

業績不振と株価への影響

双良節能の近年の業績は振るわない。中国メディアの報道によると、2023年第1第3四半期の売上高は前年同期比で40%以上減少した。また、2023年通期の業績見通しでは、約7.8億元から10.6億元の純損失を計上する見込みだ。

今回の発表は、業績低迷からの脱却を図るための材料として市場に受け止められたが、取引所からの警告したでその信頼性に疑問符がついた形だ。2月13日時点の同社の時価総額は180.63億元となっている。

日本への影響

双良節能のSpaceXとの提携発表とそれに伴う上海証券取引所の警告は、日本の宇宙産業および関連企業に複数の示唆を与える。

第一に、日本の宇宙関連ベンチャー企業にとって、中国企業がSpaceXのような世界的なプレーヤーのサプライチェーンに食い込もうとしている事実は、競争激化を意味する。特に、双良節能が「スターシップ」射場の燃料生産システム向け熱交換器供給という、宇宙開発の基盤技術に関わる契約を狙っている点は注目に値する。日本企業が同様の技術で国際市場を目指す場合、中国企業の価格競争力や政府支援を考慮した戦略が不可欠となる。

第二に、双良節能の2023年第1〜第3四半期の売上高が前年同期比40%以上減少という業績低迷の中で、大型契約発表が株価急騰に繋がった点は、中国企業が国際的な提携を業績回復の起爆剤と捉える傾向を示唆する。これは、日本の技術を持つ中小企業が中国企業と連携する際、相手方の財務状況や情報開示の信頼性をより厳しく評価する必要があることを意味する。表面的な提携話の裏に、相手企業の経営悪化を補填する狙いが潜む可能性も考慮すべきだ。

第三に、上海証券取引所が「内容が不正確かつ不十分」と警告した事実は、中国市場における情報開示の透明性リスクを改めて浮き彫りにした。日本の企業が中国企業との合弁事業や技術提携を進める際には、契約内容や事業計画に関する情報開示の基準が日本と異なる可能性を認識し、予期せぬリスクに備えるための法的・会計的デューデリジェンスを徹底する必要がある。特に、知的財産権や技術流出に関する契約条項は、曖牲な表現を避け、明確に規定すべきだ。